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自分が起きてから朝ごはんの準備をして食べさせて、歯を磨いたりトイレに行ったり、テントを片付けたりで出かけるまで2時間はかかる。これでもトイレが近くにあったからまだ良かったくらいで、トイレが見えるのは嫌だけど、子供がいると水やトイレはよく使うことになるのでトイレは近いと良い。8時くらいにやっと出発。
8:50 せっかくのチャンスが。

8:50 せっかくのチャンスが。

 

順調に進んでいると海沿いの風景から集落の中に入っていった。そして何やらゴザが自転車道に敷いてある。山菜が干してあるのだ。そう言えばちょうどその季節で、これまでも途中の山へ登る道には「集落の住人以外の山菜採り禁止」の看板がたくさん建っていた。この辺では魚貝類と同じように山菜が生活の糧になっていた歴史があるのだろう。とはいえ、こうあっけらかんと道路に干しちゃう感じが面白くて、休憩がてら写真を撮っていると、その主らしいおばあさんが声をかけてくれた。東京から来たと言うとたいそう驚いてくれて、娘や孫まで連れてきてくれた。さらに孫はアイスの差し入れまで。犬に触りたいようだ。息子もあそんでもらいたいみたいなので、しばらく気分転換してもらった。

9:10 お孫さんと。ゴザの上にはわらびが並ぶ。その他タオルや布団など色々干せてとても便利な道だと。自転車には乗らないそうだ。

9:10 お孫さんと。ゴザの上にはわらびが並ぶ。その他タオルや布団など色々干せてとても便利な道だと。自転車には乗らないそうだ。

土手に降りてしばらく遊んでもらう。

土手に降りてしばらく遊んでもらう。

その間おばあさんと娘さんと世間話をしていると、山菜を食べるか?と。実は期待してたりもしたので喜んで応じると、おばあさんも茹で方とか味付けの技を披露したいのもあるようで、嬉しそうに持ってきてくれた。昨日採ったばかりで苦いかも、と出してくれたわらびはツヤツヤに輝いている。そのゴザの上に正座して頂く。地元の女性たちに囲まれて、よそ者のおじさんが道路の上にゴザを引いて何やら食べてる姿はかなり滑稽に見えるだろう。そんな事が気にならないくらいに美味しいわらびでパリッとしてるが噛むと柔らかく、確かに苦いが新鮮なので良い風味。言えばお酒も出してくれそうだが、そこは我慢した。

ツヤツヤのわらび。

ツヤツヤのわらび。

NHKで鶴瓶がやってる家族に乾杯みたいだ。一人で来てもなかなかこうはならない。犬と子供がいると不便な事もたくさんあるが、それ以上に面白いことや嬉しいことも多い。息子が小さくて可愛いうちにもっと出かけねばだ。

10:40 鬼伏のあたりまで来ると遠くにゴールの糸魚川中宿のあたりが見えてくる。さらに遠くに見える山は黒姫山。このあたりのスロープから国道に降りるとセブンイレブンがある。坂が大変なので子供の自転車は置いたままにして降りて休憩した。

10:40 鬼伏のあたりまで来ると遠くにゴールの糸魚川中宿のあたりが見えてくる。さらに遠くに見える山は黒姫山。このあたりのスロープから国道に降りるとセブンイレブンがある。坂が大変なので子供の自転車は置いたままにして降りて休憩した。

鬼伏のあたりまでくるともう残り5キロほど。ゴールの向こうにはまだ白い黒姫岳が見えて来て、進めば進むほど大きくなり演出がばっちり。それなのに息子は疲れて集中力が無くなってきていて、自転車を投げ出しては虫を探す逃避を繰り返す。最後くらいは自分の力でゴールさせたいので「がんばれー」「もうちょっとー」と声をかけ、ごまかしごまかし進むがそれも効かなくなると声が大きくなるだけ。気がつくとアニマル浜口みたいになっている。そしてついには座り込んで泣き出した。サイクリングロードの最後は浦本漁港の集落と海の間の細いまっすぐな道で、全体でも一番気持ちの良いくらいの道なのに険悪な感じだ。
ここで止まったらもう母には会えない、と言ってみた。そんなに母べったりでは無いのだが、初日からちょいちょい母はどうした、とは聞いてきた。今日は会えない、とか、遠いとこに来ている、など答えていて、それについても特に泣くわけでもなく納得してるようだった。それがもう会えない、は効いたみたいで真顔になり再びペダルをこぎ出した。
とは言え、息子は道中ずっと良い子だった。ごはんも自分でちゃんと残さず食べるし、ぐずる事も何かをねだる事もなく、たまに眠いとか疲れたと言うだけで大人しくついてきた。いつもはこんなじゃない。おそらく甘える母がいないからだろう。私だと甘えすぎるといっぱいいっぱいになるので、それよりは無事に帰れるように進めるために息子なりに頑張っていたのだろう。初めて申し訳なく思ったけど、普段からこうしてもらうにはどうしたら良いかも考えた。
11:00 前から見ると半泣き。道は真っ直ぐで黒姫岳に向けてパースが突き刺さる。

11:00 前から見ると半泣き。道は真っ直ぐで黒姫岳に向けてパースが突き刺さる。

 

ゴールが見えてきた。ゴールだぞ!と声をかけるが、その意味がよく分からないみたい。ゴールはコンビニの裏の駐車場のような広場にあった。ゴールラインを越して終わったぞ、と声をかけるとやっと笑顔が戻った。

11:30 ゴール地点。スタートよりも市街地に近く、駐車場とコンビニがあるのでこっちからスタートしたほうが便利かも。

11:30 ゴール地点。スタートよりも市街地に近く、駐車場とコンビニがあるのでこっちからスタートしたほうが便利かも。

 

事故も怪我もパンクもなく無事に終わった。途中眠い時と追い風の時に何度か息子と自転車を運んだがそれも5キロも無いと思う。30キロ近くは自分の力でペダルをこいだり、押した事になる。もっと私が運ぶことになると思っていたので良くやったと思う。天気とか色々とラッキーもあったが、本人が頑張ったのだ。以前初めて映画(字幕のジャングルブック)を二人で観に行った時は暗いシーンで何度かリタイア仕掛けたときに、映画か面白かったので何とか頑張らせて最後まで見れた。それが自信になったみたいでその後何度もその話をする。今回もこれでまた違う自信がつくと良いなあ。
忘れていた、一番頑張ったのは犬だ。お忘れかもしれないが牧羊犬とか猟犬ではない、愛玩犬のチワワだ、寝るか撫でてもらうために生まれた来た犬種。彼も息子と同じくらい自分で走ってきた、しかも文句言わずに。こんなチワワは中々いない。
それでもやはり一番すごいのは思いついて実行した自分だと思う。事故が無かったから言えることだけど、そうならないように計画を考えたり準備したり、気を張ってるのは大変だった。まさにプロジェクトマネージメント。それで気がついたのは、冒険とはただただ無理や危険をおかすのではなく、頭を使ってそれを出来るだけ避ける大人の嗜みなのだ。そのスキルを高めてまた面白い事がしたい。
12:30 ゴールの後は自転車を息子をくくりつけて糸魚川駅まで走る。駅で自転車など持物をパッキングし、ヤマトのお兄さんに受け渡したところでやっと気が楽に。

12:30 ゴールの後は自転車を息子をくくりつけて糸魚川駅まで走る。駅で自転車など持物をパッキングし、ヤマトのお兄さんに受け渡したところでやっと気が楽に。

 

駅で時間が出来たので、せっかく来たのに何も出来なかった糸魚川でせめてお土産をできる限り爆買いし、新幹線にのった。
行きの盛り上がりとは違い、みんな疲れ切っていて、私はぼーっとカップ酒を呑み、息子はiPadで動画を無言で眺め、犬は鞄の中で熟睡してびくともしないまま東京についた。
#69 左が息子用、牛乳パンはジャケ買いで、このTシャツも売ってた。右が私。糸魚川は日本酒が豊富。次回はちゃんと呑まねば。

#69 左が息子用、牛乳パンはジャケ買いで、このTシャツも売ってた。右が私。糸魚川は日本酒が豊富。次回はちゃんと呑まねば。

13:30 糸魚川のホーム。後は乗って帰るだけ。

13:30 糸魚川のホーム。後は乗って帰るだけ。

 おしまい
糸魚川はおみやげが豊富。魚もスイーツも酒もどれもレベルが高く種類も多いので、残ったお金は使っちゃおう。

糸魚川はおみやげが豊富。魚もスイーツも酒もどれもレベルが高く種類も多いので、残ったお金は使っちゃおう。